2006年07月05日

児童と出会い系サイトを取り巻く法令の整理(備忘的エントリ)

ここ2つほど(こちらこちら)、児童絡みのspamをご紹介しましたが、ここで自分自身での確認の意味も含め、児童と出会い系サイトとのかかわりや、児童とのセックスに関する法令の整理をしてみたいと思います。
もし内容に誤りがあれば、随時修正したいと思いますので、是非コメントなどでご連絡ください。

ちなみに「児童」とは、出会い系サイト規制法や児童買春・児童ポルノ処罰法において「18歳に満たない者」と定義されております(同法第2条第1号)ので、このエントリにおいて「児童」と書かれている場合は、上記定義に従っているものとご理解ください。


1 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(いわゆる「出会い系サイト規制法」)における禁止事項(同法第6条)

・児童を性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)の相手方となるように誘引すること。

・人(児童を除く。)を児童との性交等の相手方となるように誘引すること。

・対償を供与することを示して、児童を異性交際(性交等を除く。次号において同じ。)の相手方となるように誘引すること。

・対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。


※「異性交際」とは、「面識のない異性との交際」のこと。(同法第2条第2号)

→よって、単純に児童と出会い系サイトで知り合うこと及び性交等を伴わないおつきあい(デートなど)は違法ではない。(ただし、対償を供与することを示すと違法)
→違反した者は100万円以下の罰金。(同法第16条)



2 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる「児童買春・児童ポルノ処罰法」)における禁止事項(同法第4条)

・児童買春(児童などに対して対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすること)

→出会い系サイト規制法においては、児童買春そのものは違反ではなく(「出会い系サイトを使った児童買春への誘引」が禁止対象)、この法律で規制される。
→違反した者は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金。(同条)



3 売春防止法における禁止事項

・売春をし、又はその相手方となること。(同法第3条)
→売春の定義は「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」。(同法第2条)
→ただし、この禁止事項には処罰規定がない。

・公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。

・売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

・公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(同法第5条各号)

→出会い系サイトの掲示板などで直接的に売春の勧誘をしていれば、この条文にひっかかって違法。
→違反した者は6か月以下の懲役又は1万円以下の罰金。



4 児童福祉法における禁止事項

・児童に淫行をさせる行為(同法第34条第1項第6号)

→児童福祉法における「児童」は、満18歳に満たない者を指す。

→これは平成8年10月30日東京高裁判決(PDFファイル)により次のとおり定義づけられている。
・「淫行」には、性交そのもののほか性交類似行為(児童の心身に与える有害性が認められ、実質的にみて性交と同視し得る程度の行為、すなわち男女間の性交を模した、あるいは性交を連想させるような姿態での手淫・口淫行為や同性愛行為等)も含まれる。
・ただし、「淫行」は、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似制為をいうものと解するのが相当。
・「淫行をさせる行為」とは、「行為者が児童をして第三者と淫行をさせる行為のみならず、行為者が児童をして行為者自身と淫行をさせる行為をも含む」。また、「児童に淫行を強制する行為のみならず、児童に対し、直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与えあるいはこれを助長する行為をも包含する」。(2006/7/6 18:18追記)

→違反した者は10年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)。



5 各都道府県の青少年保護を目的とした条例における禁止事項

・青少年(18歳未満の者、という定義付けが多いが、都道府県によって多少定義付けが異なる)とみだらな性交又は性交類似行為を行うこと。(これは東京都における禁止事項。東京都青少年の健全な育成に関する条例第18条の6)(東京都の条例は「東京都例規データベース」からログインし、「第15編 教育」→「第6章 青少年」の中にある)

→他の道府県では、禁止事項が「淫行」や「わいせつな行為」とされているケースもある。(大阪府の場合は「性行為又はわいせつな行為」が禁止事項。大阪府青少年健全育成条例第28条各号)

→東京都における「みだらな」及び「性交類似行為」、大阪府の「わいせつな行為」の定義は条例には規定されていない。

→ただ、昭和60年10月23日最高裁大法廷判決(PDFファイル)では、福岡県青少年保護育成条例における「淫行」を次のように定義づけている。(東京都及び大阪府の用語がこの定義に従っているかどうかは不明)
「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似制為をいうものと解するのが相当

さきの平成8年10月30日東京高裁判決(PDFファイル)によれば、4の児童福祉法における「淫行」が成立するには、「行為者自身が淫行の相手方となる場合について同号(環注:児童福祉法第34条第1項第6号)違反の罪が成立するためには、淫行をする行為に包摂される程度を超え、児童に対し、事実上の影響力を及ぼして淫行をするように働きかけ、その結果児童をして淫行をするに至らせることが必要」である。(そこまで至らない「淫行」は条例による禁止事項に該当)(2006/7/6 18:18追記)

→児童買春・児童ポルノ処罰法では、「対償を供与し、又はその供与の約束」を行った上での性交が禁止事項とされているが、この条例では対償の供与等がなくても禁止事項に該当する。(ただし、都道府県(大阪府など)によっては対象とならない場合もある)

→罰則が適用されるケースが多い。(東京都の場合は条例第24条の3により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金。大阪府の場合は)

→全然関係ないが、東京都や大阪府では、青少年から着用済み下着を買うことも犯罪になる。(東京都は条例第15条の2、大阪府は条例第29条。大阪府では「着用済み下着」だけが対象であるが、東京都では「青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿」及び「青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿」も含まれる。罰則は、東京都、大阪府ともに30万円以下の罰金)

→なお、これらの条例については、Wikipediaの淫行条例又は青少年保護育成条例の項も参考になる。


posted by 環 at 23:41| Comment(9) | TrackBack(1) | 【notspam】日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
表題の法令として、このほか風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)は外せないのではないでしょうか。
随所に18歳未満のものは客になれない、客を取れない、客引きできないと記されております。
特にネットがらみでは「無店舗型性風俗特殊営業」、「映像送信型性風俗特殊営業」、「無店舗型電話異性紹介営業」、「特定性風俗物品販売等営業」が関係する条文かと。
Posted by 末期ぃ at 2006年07月06日 01:17
いつもありがとうございます。
そういえば、その法律を忘れておりました。
今後、整理して追記します。
ただ、今回のエントリは、出会い系サイト絡みの法令に関する整理という形を取っているので、風営法は直接的に問題となるようなことは少ないかもしれません。もうちょっと勉強してみてから整理します。
またよろしくお願いします。
Posted by at 2006年07月06日 01:19
なるほど出会い系サイト絡みでは実際に行なわれるのは(風適法では)映像送信型〜くらいでしょうか。
ただし現実に行なわれないとしても無店舗型電話異性紹介などを行なうことを匂わせているものとして挙げさせていただきました。
条例や判例まで調べるとかなり膨大な作業になるかと思います。ここではざっと挙げてスパマーに警告を与えるというスタンスがよろしいかと思います。
スパムに関して法律論を取り上げたのは大変斬新です。頑張って下さい。
Posted by 末期ぃ at 2006年07月06日 07:32
いつもありがとうございます。
このエントリに関しては、あくまで備忘的なものですので、思いついた時点でちょこちょこと修正していく予定です。また何かお気づきの点がありましたら、ご指摘いただけると幸いです。よろしくお願いします。
Posted by at 2006年07月07日 00:39
今日ひょんなことからことからこのエントリを思い出しました。
あるスパムに誘導された出会い系サイトに「会員規約」等と並んで「未成年利用禁止」というボタンがあってクリックすると「インターネット異性紹介事業規制法」条文が現れるのです。
特に解説がないのですが、この表示により18歳未満の利用を禁止を警告していると言いたげです。サイトの随所に年齢制限は書いてあるし会員規約にも年齢確認を行うとあるので、何で条文を掲げたんだか?
現行法と読み比べると条数が違ったり最後に「理由」が付いていて、どうやら思考された法律でなく法案の文が掲載されている模様です。出会い系サイトで思わぬ勉強をしました。
なおこの法律(当エントリの1)に付随して「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則」(国家公安委員会規則)がありますのでこれも関係法令に挙げておきます。
この規則に児童でないことの確認方法として免許、保険証、クレジットカードの提示などありますが、現状は画面上の年齢確認ダイアログで「OK」をクリックでもよいわけです。児童は悪意を持って法を犯すものでないという前提で法令が作られている故の穴ですが、これではまだ児童の過失に大人が付け込むことは防ぎきれないというのがこれら法令を読んだ実感です。
Posted by 末期ぃ at 2007年02月09日 23:26
いつもありがとうございます。
今、規則を読んでみました。
児童の場合は、親権者という絶対的な存在がいますので、場合によっては未成年者取消で対応できると考えているのかもしれません。
ただ、この手の問題に関しては、やっぱり、我々大人がきちんと子供に知識をつけさせるしかないと思います。
またよろしくお願いします。
Posted by at 2007年02月11日 23:07
未成年者の法律行為には民法の取り消しという手がありましたね。
ただし親権者に知識がないと取り消しできないどことか追認してしまう恐れもあります。
また未成年者が成年と偽って行った行為まで取り消せることには異論が多いのも事実です。
どうしても子供のほうが知識欲旺盛でどんどん先行しますから親はついて行くさえ大変なのが現状でしょうが、危ないことに近づかないよう勉強していかないとなりませんね。
さて法律があれば「〜法施行令」(内閣の条例)と「〜法施行規則」(省庁条例)があって大概その3つがセットになって運用されるのが普通です。これらも併せてみると具体的にやっと理解できることが多いのでご参考まで。
Posted by 末期ぃ at 2007年02月12日 02:55
連投すみません。この関連のニュースがあった筈と思いながら見失っていました。やっと見つけました。
http://www.chibanippo.co.jp/_inc/backnumber/news/shakai/070124.php
児童買春・児童ポルノ処罰法で初の摘発とは意外でしたが、摘発は「タクミ通信」に続き千葉県警でした。
Posted by 末期ぃ at 2007年02月16日 20:05
いつもありがとうございます。
自分の子供をどうやって保護していくのかは、やっぱり親がきちんと知識を持って、子供にもその知識を植え付けていくしかないと思います。世間には危険なものがたくさんあることもあわせて教えていく必要があろうかと思います。
またよろしくお願いします。
Posted by at 2007年02月24日 00:14
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